CA採用試験、CA業務に役立つ海外でのボランティア経験

世界各地を飛び回り、国内、海外のお客様と触れ合うCA(客室乗務員)。グローバルな仕事ということもあり、学生時代に海外留学や海外でのボランティア活動経験がある方も多くいます。

CAは、世界中のすべてのお客様を高い品質でおもてなしする能力が求められます。航空会社もそのような素質のある人材を求めているため、海外経験、特に海外でのボランティア経験があることでグローバル性とCAに欠かせない人を気遣う心を養ってきたことをアピールすることができます。

この記事では海外でのボランティア経験が、CAの採用試験やその後の仕事にどのように役立つかについてお伝えしていきます。

目次

「日本らしいおもてなし」、「日本らしさ」とは何かを知ることができる海外経験

JALやANAなどの大手エアラインでは、日本らしいおもてなしを行うこと、日本らしさを発信し、海外からのお客様に楽しんでいただくことに力を入れています。

ANAでは「おもてなし」をローマ字表記で”OMOTENASHI”と発信し、海外のお客様を呼んでおもてなしの研究を行っています。Inspiration of Japanというタイトルで、日本らしさを楽しんでいただける「おもてなし」に力をいれています。

また、ANAの代表取締役社長の芝田浩二氏は、日本の人口減少の現実、そしてコロナ禍による航空需要の減少を受け、『「スターアライアンス」加盟社など、海外勢との連携を加えたグローバルなネットワークの拡充は重要度が増している』と語っています。(ANAグループHP 社長メッセージより抜粋http://www.ana.co.jp/group/about-us/message/)よりグローバルな戦略を重視しているため、海外に向けた「おもてなし」ができるか否かは、CAとしての技量を評価する基準に加わったそうです。

海外のお客様にとって機内は、「日本を初めて感じる場所」です。

「日本らしいおもてなし」、「日本らしさ」とはどういうことなのでしょうか。
その答えは、国内で過ごし、日本人に接するだけでは満足な回答を得ることは難しいかもしれません。海外の人と接する経験や、海外で生活してみることで、日本らしさ、日本人としてのアイデンティティに客観的に気づくことができます。

その気づきによって、「日本らしいおもてなし」、「日本らしさ」とは何かの解答を得ることができるのではないでしょうか。

お客様に見えないところでお客様のために動く 「清掃のおもてなし」

将来CAとして海外のお客様に接客することを考えると、採用試験の前に海外留学の経験を積むことは、採用試験の際にも、夢を叶えてCAになった後でもプラスになります。海外で語学を学んだり、現地の学校に通う留学経験だけでもいいのではと思われるかもしれませんが、「日本らしいおもてなし」とは何かを知るためには、海外ボランティア経験がポイントなのです。

「 日本らしいおもてなし」のひとつは、お客様に見えないところでお客様のために動くことといえます。例えば、「世界一美しいお化粧室」と評判の高いJALのお化粧室は、CAの絶え間ない清掃によって保たれています。国内線であれば、1時間程度のフライトで目的地に到着するので、お化粧室のゴミは到着した後に回収されます。一方、国際線は到着するまで10時間以上ある路線もあります。国内線と同じ大きさのゴミ箱なので、こまめな清掃が欠かせません。

国際線移行訓練を受け、実機でまず先輩から教わるのが、お化粧室の清掃だといっても過言ではありません。手が汚れる仕事は後輩の仕事というわけではなく、経験豊富なCAも、いきいきとお化粧室の掃除を行っているので、後輩はそのような先輩の姿を見て学んでいきます。

お化粧室でもお寛ぎ頂きたいという思いから、小さなペーパーのクズを拾い、鏡の汚れをピカピカに磨き上げ、洗面台の水滴を一粒残らず拭き取ります。お子様のおむつなどもゴミ箱に捨てることになるため、すぐにいっぱいになるゴミ箱はその都度ゴミを取り出しています。

「綺麗なお化粧室を使っていただきたい」というCAの思いによって、美しいお化粧室が保たれるのです。きれいなお化粧室は、先輩から代々受け継がれるおもてなしの心と技だといえます。

 また、機内の通路はお客様も気づかないうちにゴミが増えていきます。お客様のシートポケットも、紙コップや食べ物のゴミで膨れてきます。それに気づきゴミを回収できる感性が、CAの素養として大切です。

中には嘔吐物の処理もあります。体調が悪いお客様に寄り添うため、「気になさらないでくださいね!お口を濯ぐお水をお持ちしますね」などと柔らかい表情でお声掛けをし、てきぱきと汚してしまったシートの片付けもします。(お化粧室の清掃も、嘔吐物の処理も、ビニール手袋を使用しています)

ご紹介したのはほんの一例ですが、このような業務に心を込めることで、お客様に快適な空間を提供しています。

目標を達成するために頑張ってきた努力家の皆様、自分ではない、誰かの為に一生懸命に動いたことはありますか?
ボランティア経験は、“人の為に一生懸命になれる人柄”が分かりやすく伝わる経験のひとつなのです。

 誰かのために一生懸命働いた経験は、機内の「おもてなし」に繋がる

エントリーシートの設問の中に、 「機内で(空港で)実現したいサービスを具体的にご記入ください」という欄があります。頭を悩ませる設問のひとつですが、採用側はプロフェッショナルな答えを望んでいるわけではありません。CA業務の経験がない受験生に問うているので、CA経験者が記入する内容とは違って当たり前です。この設問を通して、受験生の人柄をみているのです。

この設問に具体的な記入をするためには、以下の3つの要素が必要です。
①多くのCAの方から話を伺うこと 
②話を伺う際に、自分だったら何ができるか重ね合わせること
③“誰かのために”一生懸命動いた経験を多く積むこと

何より3つめの「誰かのために一生懸命働いた経験」はとても重要です。

海外でのボランティアでは、貧困層の子供達やストリートチルドレン、孤児院に住む子供達への支援活動を行ったり、高齢者施設を訪問して身の回りのサポートを行ったりする経験ができます。

機内にも、幼いお子様やご年配のお客様がいらっしゃいます。ボランティアで海外の子供達やご年配の方々と接することは、機内を体験することと同様です。

海外ボランティアの経験を通して機内でも、幼いお子様やご年配のお客様にどのようにお声がけするか、相手の笑顔を生み出すためにどんな工夫ができるか、自分なりに考え、動くことができます。

お客様に声をかけられる前に自ら気づいてお声がけをしてお手伝いすることは、「日本らしいおもてなし」のひとつです。海外ボランティア経験があることで、動じることなく海外のお客様にもさっと「おもてなし」ができることに繋がります。

 相手のために自ら考えて行動する力を育む、海外でのボランティア経験

 今までは「先輩のおもてなしを見て学び、取り入れていく」教育システムが確立されていたCAの世界ですが、「自分で考える力」も重視されるようになりました。海外でのボランティア活動では、言われたことをこなすだけでなく、自ら考えて行動する率先力も大切です。

海外ボランティアは難しいことをする必要はありません。貧困層の子供達や、高齢者施設のご年配の方々とお話をしたり、遊んだり、日本のことを伝えたり、自分のできる範囲で、自分にできることをすることも立派なボランティアです。

子供達やご年配の方々が何を望んでいるのか、それをくみ取って目の前の相手のためにできることを自ら考えて行動する。この経験が、採用試験の際も、CAとして働く際も大いに役立ちます。

このように、海外のボランティア経験は、CAの採用試験にも、その後CAになった後も自身にとってプラスになります。CAを目指すのであれば、ぜひ海外でのボランティアを経験してみてはいかがでしょうか。

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